暮らしを育てる。Vol.1「家具メンテナンス」
家づくりの話
こんにちは。谷口工務店 設計の松本洋太(まつもと ようた)です。 家づくりにおいて、お引渡しはひとつの区切りではありますが、本当はそこから始まる日々の営みこそが、真の「家づくり」なのだと感じています。
私事ではありますが、わが家も谷口工務店で家を建ててから、早いもので8年目を迎えました。この数年の間に二人の子どもを授かり、家の中は以前に増して賑やかで、活気に溢れています。 住み始めてからだからこそ気づく苦労や、お手入れの楽しみ、そして家族の成長と共に変化していく空間…。そうした「家を建てた後の喜び」を発信していきたいと思います。
ということで、記念すべき第一回は「家具メンテナンス」をお届けします!
先日、谷口工務店のYouTubeチャンネルで公開した動画と合わせてご覧いただくと、より臨場感を楽しんでいただけると思います。
わが家で長年使い続けてきた椅子たちを、インテリアスタッフの吉成(よしなり)に教わりながら、メンテナンスしました。 登場するのは、私が座った瞬間に惚れ込んで(ひと尻ぼれ!)選んだ「PP58」や、妻がお気に入りの「CH20(エルボーチェア)」。そして後から仲間入りした「CH36(シェイカーチェア)」です。
動画の見どころは、なんといっても「椅子の丸洗い」です。
石鹸をふわふわに泡立てて、木肌はもちろん、革の座面までジャブジャブ洗っていくんです。※自然由来の石鹸であれば洗えます。動物の革ですから、人間と同じように設計で洗えるということなんですが、とても衝撃でした。
特にお手入れしたかったのが妻のエルボーチェア。ナチュラルレザー(ヌメ革)の風合いに惹かれて迎え入れたものの、実はどうメンテナンスすべきかはっきり分からずじまいでした。
大人だけで暮らしていた時は、気をつけていれば綺麗に保てていたのですが、子どもが産まれてからはそうはいきません。
子どもって、椅子を噛むんですね(笑)。
「一生ものだから」と奮発して購入した名作椅子が一瞬にして傷だらけに…。覚悟はしていましたが、かなりのショックを受けました。
ですが、無垢木の良いところは厚みがあるので「微調整」できるのです。子どもが噛んだ程度の傷であれば、紙やすりで整えることができます。思い切って削りました。そして仕上げのオイル。カサカサだった木肌に潤いが戻り、グッと深みのある艶が蘇る瞬間は、本当に楽しくて、思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
ですが、実際に手を動かしてみると、中にはどうしても元に戻せない深い傷やシミも残りました。
でも不思議なことに、メンテナスをすればするほど、「この傷は、あの子が一生懸命に大きくなろうとしていた跡なんだな」と思うようになり、むしろ消えなかった傷がなんだかとても愛おしく、無理に綺麗にしなくても良いんじゃないか、という気持ちが湧いてきました。ピカピカの新品に戻すことだけが正解ではなく、メンテナンスというひと手間をかけることで、子どもがつけた傷や、うっかりこぼしたシミも、ただの「汚れ」から家族の歴史を刻んだ「味わい」へと変わっていく。そんな矛盾を楽しむ心の余裕が、暮らしを育てる醍醐味なのかもしれません。
今回ご紹介したメンテナンス方法は、無垢木であれば応用できます。窓枠や床についた傷やシミも、同様の方法でメンテナンス可能です。ぜひ皆さまも無垢の木や自然素材ならではの豊かさを感じていただければ幸いです。
家を、ただ住むだけの場所ではなく、慈しみながら一緒に育っていくパートナーとして。このコラムが皆さまの「暮らしを育てる」きっかけになれば嬉しいです。

















