茶事の心を学ぶ
谷口工務店の日常
皆様、こんにちは。谷口工務店 大工の赤塚です。
夏日が続き、大工工事中の汗が増えてきました。皆様はいかがお過ごしてしょうか?
先日、私たち入社2年目となる社員が、社内研修として、大津市にある山元春拳(やまもと しゅんきょ)旧邸を訪れました。
山元春拳とは、明治から昭和初期にかけて活躍された日本画家で、旧邸は蘆花浅水荘(ろかせんすいそう)という名で国指定重要文化財に認定されています。
研修の目的は、春拳旧邸を見学するだけではなく、そこで茶事を体験するというものでした。
社員全員が、茶事を体験し、おもてなしや心構えについて学んでいます。
亭主は代表の谷口、私たちは招待客として訪ねました。
茶事が初めての体験だった私たちは、見様見真似で作法を学びました。
炭点前、懐石、濃茶、薄茶と進められ、その1つ1つに亭主の心遣いが感じられました。
茶道の先生にも来ていただき、指導を賜ったのですが、中でも、
「いつも顔を合わせる人であっても一期一会の気持ちで臨むこと。今日この時間をこの人と過ごすのは今しかない。」
この言葉が印象的で、今という瞬間の大切さを改めて感じさせられました。
他にも、「相手の調子に合わせる繊細な気配り」「周囲をよく見聞きして応対すること」
大工としても日常生活の中でも大切なことが茶事には詰まっていました。非常に有意義な時間でした。
そして、山元春挙旧邸の建築にも魅力的なところが多くありました。
遊び心が至るところに散りばめられています。
襖の引手は、書院の円(満月)→仏間の半月→残月の間と月の満ち欠けを部屋ごとに表現。
また、「竹の間」は至るところに竹が使われています。
丸窓には、自然に枝分かれした竹がはめこまれており、窓を閉めると、満月がすすきが見えるという素敵な仕掛け。
竹の間の窓から、「無尽蔵」という書斎の梅、庭の松が見え、「松竹梅」がそろいます。
ふすまは、「竹に雀」。引き手の雀は竹で作られています。
外からの景色では想像がつきませんが、二階は洋館になっています。
奥には、作品を描いていた画室があり、筆や絵の具も残されています。
このような細やかな建築の意匠を日々の仕事に生かすとともに、この研修で得た、茶事の心が宿った大工になっていけるよう、精進して参ります。