いつまでも使い続けられる家具
谷口工務店の日常
皆様、こんにちは。谷口工務店 モクノカグの山口です。
皆様の生活の中で、家具を毎日使っていると傷がついてしまったり、不具合が出てきてしまったりすることがあるかと思います。
木と木を組み合わせてつくられた家具は、それらの不具合を直すことが可能です。
特に、職人の手でつくられたものは手直ししやすく作られていることが、多いと思います。
当社モクノカグでも、家具の手直しを行っています。
今回は、先日修理させていただいた家具について、ご紹介致します。
少し特殊な格子編みになった背板の一部が折れてしまっており、その修復のご依頼でした。
どう直すのが家具に負担をかけないかと考え、曲木の技術を使い、背板の一枚のみを作り変えることにしました。
木は蒸すことで、細胞が軟化し一時的に柔らかくなります。
大きな工場などでは、大掛かりな設備でこの蒸す工程を大量に行いますが、今回は背板一枚ということもあって家庭のどこにでもあるアルミホイルとアイロンを使い、曲木を行いました。
このアルミホイルとアイロンで、木は簡単に曲がるのです。
水で濡らした布を間に挟み、10分ほど蒸します。ここからはスピード勝負です。
背板を編むように端から通し、家具と新しい部材に負担をかけずに元の形に戻すことができました。
そして傷や気になるところを削り直し、塗装し、仕上げを行いました。
修理の依頼を受けると、家具は機能だけの道具ではないのだと実感します。
使えば使うほど愛着が湧き、この家具なしには暮らしが成り立たないという程、大切な存在になっていくのだと思います。
木という素材が育ってきた背景に敬意をはらうこと。使い続けたいという思いを裏切らないこと。いつの間にか暮らしに根付き、不具合が出れば直すことができる。
いつまでも使い続けたいと思っていただけるような家具を、家具職人としてつくり続けたいと思います。